乾坤一擲――。
そう言えば、聞こえはいいですが、実際にするのはあまり感心できるものではありません。
イチかバチかの大勝負は、「勝てば天国、負ければ地獄」です。あまりにもリスクが大きすぎます。
確かにスリルは、あります。ただし、それは極めて限られた時間です。
勝負をしている、その瞬間はハラハラドキドキして、「生きている」ことの躍動感を得ています。もっとも、そう感じるのは、ほんの一瞬です。
終わったときには、結果はどうあれ、抜け殻のようになっています。その行き着く先は、「依存症」です。
ビジネスにおいても、社運をかけて新規事業に進出することはあります。「社運をかける」こと自体は悪くはありませんが、もしそれがイチかバチかを意味するのだとしたら、考えものです。
イチかバチかの大勝負は、どんな立場や状況にあってもするべきではありません。「勝てば(うまくいけば)、状況が変わる」というのは、甘い幻想、もしくは思い込みです。
追い込まれているから、余計に一発逆転を狙いたくなっています。これは、誰にもありがちな深層心理です。
新規事業をするにしても、それで会社の存続が決まるというのでは、明らかな経営判断のミスです。
それは、追い込まれるまでに適切な経営判断をしていなかったからにほかなりません。
新規事業で勝負をするなら、失敗してもダメージが少ない、小さなものでするべきです。ダメージを承けても、立ち直れる範囲内で勝負します。
そういう勝負を何度もしていって、その中で見込みのありそうなものだけを選んで、大きな勝負していく――。これならリスクを小さくすることができます。
何ごとにおいても、イチかバチかの勝負をせざる得なくなっているのは、すてに追い込まれているときです。
「リスクをとる」と言うよりは、それをするしかどうにもならなくなっているから、イチかバチかの勝負をせざるを得ないのです。
イチかバチかの勝負をしたくなったら、自分自身がうまくいかなくなっている証拠……。そう言い切っても、過言ではありません。
(朝の独り言☆)
愛媛から林先生が、見学に来て下さいました。久しぶりでしたので、色々と話せて、楽しかったです。