誰にでもある「苦しいとき」とは、どういう状態なのでしょうか。「そんなことは考えたくもない」と言う人は多いかもしれませんが、一考に値します。
そこから見えてくるものは、意外と奥が深いものです。
たとえば、ダイエットをしていて、「苦しい」と感じるとき……。それがどういう状態なのかと言うと、痩せ始めたときです。これは、逆説的な真実です。
始めた直後は、「今度こそ痩せよう!」「絶対に痩せる!」と思っていますから、ややハードな運動にも耐えられるし、食べたいものもガマンできます。「痩せる!」というモチベーションが高い分、「苦しい」とは感じないものです。
実際にしっかりダイエットをすると、効果はしっかり表れます。「こんなに痩せた!」「スゴイ。もっと痩せたい!」と思って、モチベーションはさらに上がります。
引き続き、ハードな運動にも取り組み、食べたいものもガマンします。
こういう状態が続くといいのですが、順調に痩せていた日々は、ある日突然、パタリと止まります。なかなか痩せない膠着状態が始まります。
以前から比べると十分に痩せていますから、成果は出ています。しかしながら、成果が出ることに慣れてしまうと、「ハードな運動をやっているのに」「食べたいものもガマンしているのに」という不満を感じるようになります。
これは、危険な兆候です。最初はただ痩せるだけでうれしかったものですが、成果が出るようになると、「もっともっと」という欲が出てきます。成果自体をモチベーションとするようになってしまいます。
以前と同じことをしているにもかかわらず、痩せないから余計に「苦しい」と感じます。それまで苦しくてもなんとか耐えられたのは、成果がモチベーションになっていたからです。
成果はもう出ているのですから、それをモチベーションにするのをやめると、苦しさから解放されます。
痩せたい人は、「カワイイ洋服を着たい」「スピーディーに動きたい」をモチベーションにすれば、苦しい停滞状態から抜け出すことができます。停滞が脱却して、再び痩せるようになります。
もし相変わらず成果をモチベーションにしていたら……。その人は、リバウンドの道に一直線に進んでしまいます。