自分に直接の非はなくとも、ミスを犯したり迷惑をかけたりすれば、相手に対してきちんと謝罪をします。それが、道理というものです。
「この度は申し訳ありません」「至らぬところばかりで、お詫び申し上げます」「ご迷惑をおかけして恐縮です」……
どんな言葉を選んでもいいですが、相手に深い反省と誠意を示さなければなりません。この2つをきちんと感じ取れれば、相手も許してくれます。
とは言え、この2つを相手に通じるようにハッキリ示せる人は、意外なほど少ないです。それが、「きちんと謝罪できない人」です。もしかしたら、あなたもその1人かもしれません。
きちんとした謝罪とは、土下座するのとは異なります。上半身を90度の角度まで曲げることでもないです。
それらは、パフォーマンスの一種。カタチだけの謝罪です。
そうした謝罪をされても、相手は納得も理解もしません。非難を強めるか、関係を断ち切ろうとします。どちらにしても、いい結果にはなりません。
きちんと謝罪できない人は、カン違いをしています。相手に謝罪をすることを全面降伏することだと、とらえています。
全面的に謝罪したら相手の要求をすべて飲まざるを得なくなる……。そんなふうに考えているから、お茶を濁そうとします。必然的にパフォーマンスに走ることになります。自分の都合がいい展開に持っていこうとします。
これでは焼け石に水。反省と誠意のかけらも感じられません。状況は、ますます悪化します。
繰り返しますが、謝罪とは、反省と誠意を示すこと。それは、新しい何かの始まり。
反省することで、自分自身がミスを克服し迷惑をかけない新しく生まれ変われます。その自分が再び相手と関係をつくっていくために、誠意を示す必要があります。
謝罪とは、自分、および相手との関係性を新しくするチャンス。そうとらえられれば、躊躇することがありません。こちらに非があれば、きちんと謝罪するようになります。
雨降って地固まる――。きちんと謝罪をすれば、そういう劇的な効果を得られます。