「あと5分ある。答案を提出する前にもう1度念入りにチェックしよう」「契約書にサインする前に、1字1句念入りに読み込もう」……
自分にとって特別なことをするときには、念には念を入れます。「失敗したくない」「間違いがあってはならない」という気持ちが、自分自身をそうした行動に駆り立てます。
念入りにチェックしたり審査したりしたほうがいいに決まっていますが、そこまでするかいがあるかどうかは、微妙なところです。こう言うと、「念入りにしないほうがいい」と言っているように聞こえそうですが、それは違います。
念入りな行動は、すべきです。ただし、それが奏功する人と、そうでない人に分かれます。
前者は、日ごろから念入りな行動をしている人。後者は、日ごろは特に何もしていないのに、特別なときだけ念入りな行動をする人……。こう言えば、あなたも納得してくれるのではないでしょうか。
特別なときだけ念入りな行動をする人は、現にいます。あなたもその1人かもしれません。
日ごろは念入りな行動をしていないのですから、特別なときだけやってみても、付け焼刃です。肩に力が入ったりテンションが高くなったりして、かえって逆効果を招きます。
そんな状態では、微に入り細をうがったチェックや細かいニュアンスを読み分けることなどできるはずがありません。しないよりは「マシ」という程度です。
念入りとは、今後の人生を大きく左右するような特別なときにするものではありません。それは、常日ごろ当たり前のこととして行うべきものです。
いつでもどこでもどんなときでも、しっかりやること。特別かそうでないかにかかわらず、やるべきことを抜かりなくやっていくこと――。それが、念入りです。
念入りにやろう……。そう言った時点で、もうその効果は期待できません。それは、日ごろから念入りな行動をしてないことを白状しているようなものです。
あなたは、今日も念入りな行動をしましたか。やるべきことを抜かりなくしっかりやりましたか?