「営業は断られてからが始まり」……
まことしやかに言われていますが、決してそんなことはありません。
「結構です」と断っているのに、しつこく電話してきたり手紙を送ってきたりしたら、相手にはいい迷惑です。断られるのは、始まりではなく、終わりです。
営業成績がよくない部下に「断られてからが始まりだ」などと言ったら、確実にパワハラです。実際に部下がそのとおりに行動したら、クレームが殺到します。
営業手法としては問題がありますが、言葉自体には含蓄があります。
それこそ一流のセールスパーソンが実践しているポイントがあります。
念のために言いますが、一流のセールスパーソンが断られてからも営業をしているわけではありません。
断られたときに、その原因を分析し、次はうまくいく対策を立てて実行しているということです。
営業をした顧客に断られたことは、何かが足りなかったからでもあります。それは、商品・サービス自体にすぐ分かる特長がなかったからか、あるいはセールスパーソン自身に魅力がなかったからかもしれません。
敗因は、必ずあります。それをトコトン突き詰めて、すぐに分かるように商品・サービスのよさをアピールするか、自分自身の魅力を磨き上げていきます。
その努力と行動を惜しまなければ、顧客に「これが欲しい!」「この人から買いたい!」と言ってもらえます。一流のセールスパーソンは、ここまでしています。
逆説的ですが、顧客に断られなければ、商品・サービスに分かりやすい特長がないこと、自分自身に魅力がないことに気づきません。
売れなかったことについて、「この商品・サービスのよさが分からないなんて、おかしい」と、顧客のせいにしたり、自分自身に魅力がないことを棚上げしたりしがちです。これではその後も顧客に断られ続けます。
断られるからには、何か問題がある……。そこに着目して努力と行動をした人は、以降は商品・サービスを続々と売るようになります。「断られてからが営業」は、逆説的真実です。
断られたことをチャンスに変える――。それができるのが、一流のセールスパーソンです。