「できるのは来週半ばくらいですかね」「夕方には戻りますよ」……
ハッキリした返事や回答を求めているのに、あいまいと言うかグレーゾーンが残る言い方をするのは、「アバウトな人」です。もしかしたら、あなたもその1人かもしれません。
アバウトと言うと、「大ざっぱ」とか「いいかげん」とか思われがちです。そういう面も「ない」とは言い切れませんが、その内実はもっと奥が深いものです。
本人は、大ざっぱだから、あいまいな返事をしているわけではありません。いいかげんだから、グレーゾーンが残る回答をしているのでもないです。
なぜハッキリした言い方をしないのかと言うと、「予定は未定」と思っているからです。本人の中には、「来週の火曜日」「16時30分」という一応明確な指標があります。
それをメドに行動していきますが、これから先に何が起こるか分からないから、ついあいまいな返事やグレーゾーンが残る回答をしてしまいます。
ハッキリした言い方をすると、言質をとられかねません。ちょっとでも事態が言ったことと異なると、「あれほどハッキリ言ったじゃないか!」と責められるのを嫌がります。
本人にすれば、その違いは誤差の範囲です。それを大目に見てくれない人が多いから、ついアバウトな言い方になってしまいます。
もっと言えば、アバウトな人は、縛られたくない人です。先がどうなるか分からないから、どういう事態になっても対処できるように、含みのある言い方をしています。
もっとも、正確性を欠いていることは本人も承知しています。あいまいでグレーゾーンが残る言い方をすれば、周りの人が不安になることも理解しています。
アバウトな言い方をした以上は、周りの人が納得するような、それ相応の成果を出さなければならないという自覚もあります。アバウトさの裏には、そうした秘めたる思いが隠れています。
あいまいさ/グレーゾーンと、それとは対照的とも言える成果に対する貪欲さ……。この2つが不思議なバランスで共存しているのが、アバウトな人です。
アバウトな言い方をする人には、あれこれ細かいことを言わずに成果を出すことを期待するのが、ほどよい距離のとり方です。本人も、それを求めています。