スピードが優先される現代では、仕事でも「より速く」が求められます。ビジネスでは、スピード競争になっている現実があります。それは、企業も人も同じ。
とにかく1秒でも速いほうがいい……。そういう風潮は悪いことではないですが、誤解されていることもあります。
速さとは、あくまでも実力のほんの一部。速さ=実力ではありません。
スピードをアップさせるのは、大事です。もっとも、それは実力をつけてからのこと。実力をつけてから、スピードアップを図っても遅すぎることはありません。
速さというのは、いくつかある実力の指標の中の1つです。ほかにも実力を構成するものは、たくさんあります。
たとえば、正確さ。正確でない仕事など論外です。
正確さが伴わず、ただスピーディーなだけなら、拙速です。これは、「実力不足」と同じです。
あるいは、美しさ。美しくない仕事は1回限りで終わることが多いです。また後世に伝えられるものでもありません。
美しさが伴わず、ただスピーディーなだけなら、やはり拙速。これは、むしろそういう仕事が許されると思っている「認識不足」です。
十分な実力をつけるには、いくつか満たさなければならないものがあります。そうしたものすべてを満たすと、仕事で通用するようになります。つまり、一人前になるということ。
十分な実力を満たしてもいないのにスピードアップを図ろうとするのは、危険です。実力に裏打ちされていなければ、いくら速くても本末転倒。
速くても中身がなければ、なんの意味もありません。それではやり直すことになって、下手をすると倍の時間がかかったりします。
「速い」のはいいことですが、それを実現するには確かな実力がなければなりません。
いくらスピードが求められているからと言っても、早くからそれに特化するのは、逆に実力を伸ばすことを難しくします。
まずは十分な実力を満たすために、あらゆることを身につけていきます。そこから速さに特化したほうが、結局はスピードアップを果たせるようになるものです。