何かをしようとするとき、途中でまるで断崖絶壁をよじ登るかのようなハードで厳しい経験をすることがあります。いわゆる「生みの苦しみ」です。
この生みの苦しみは、何も創作などクリエイティブなことに限定されるわけではありません。またゼロから何かを始めるときに当てはまるものでもないです。
どんなことにも生みの苦しみは、存在します。それは、必ずしもマイナスなものではありません。
確かにその渦中にあるときは、大変な思いをします。終わりが見えないので、不安や絶望に陥る人もいるかもしれません。
なんとかその断崖絶壁をよじ登ったときには、疲労困憊。気力・体力・知力のすべてを使い果たした状態にあります。
「もう2度とこんな思いをしたくない……」
おそらくそう思う人がほとんどです。それは、偽らざる本音です。
だからと言って、本当に生みの苦しみを避けるようになってしまったら、歓迎すべきことではありません。その態度には、大いに問題があります。
生みの苦しみとは、ものごとを成し遂げるための最大の難関を乗り越えることです。同時に、自分自身をさらに成長させるために必要なプロセスの1つです。
自分自身をレベルアップさせるために、生みの苦しみがあります。たんにワンランクのレベルアップを図るだけなら、それほど苦しみはないはずです。
スリーランクとかフォーランクのレベルアップをしようとしているから、生みの苦しみが生じます。自分自身をさらに高めようと思うから、あなたの前に颯爽と現れただけのことです。
もちろん、そんな厳しい経験を毎回毎回する必要はありません。「大きくステップアップをしよう」とか「ここが勝負どころだ」と思うときだけで十分です。
そのときは敢然と立ち向かっていきます。「もう2度とこんな思いをしたくない」としても……。
その断崖絶壁を乗り越えたとき、生みの苦しみは確実にあなたの力になっています。次の生みの苦しみを乗り越えるだけの地力が確実についています。
何度でも味わうもの――。それが、生みの苦しみです。