「肉にしようか、それとも魚にしようか……」
ランチタイムの定食で二者択一に悩むことは、よくあることです。
その日の体調や具体的なメニューによって、どちらか一方に決めますが、選んだものが「ハズレ」だったとしても、実害が出るわけではありません。こういう二者択一は、他愛ないものです。
不思議なことに、就職/転職や結婚といった人生を左右しかねない一大事にも二者択一で結論を出そうとする人がいます。もしかしたら、あなたもその1人かもしれません。
就職(転職)先を決めるのも、安定かやりがいか、あるいは有名か無名かで、勤めるところを決めようとします。結婚する相手にしても、金持ちか金持ちでないか、あるいは美しいか美しくないかという2択で決める人もいます。
二者択一とは、異なる2つの中からどちらかを選ぶものです。そこには、落とし穴があります。それは、選んだもの以外の可能性を切り捨ててしまっていること。
安定かやりがいかで就職(転職)先選ぶのは、合理的なように見えます。もっとも、選択肢は2つだけとは限りません。安定かやりがいだけで選ぼうとすれば、そのほかのことには目をつぶってしまうことになります。
現実には、自由か規律か、ローカルかグローバルか国際性といった選び方もあります。
安定だけで就職(転職)先を決めたとしても、勤めるところに自由度がなければ苦労することになります。それは、安定を選んだばかりに、自由度を捨てたということです。
金持ちであることを条件に結婚したとしても、将来にわたってそうである保証はありません。
10年後に一文なしになっている可能性もあります。それなら今はあまり裕福ではないけれども、将来性がある人と結婚したほうが、10年後に金持ちになっている可能性を模索するのもアリなはずです。
よく考えてみれば分かりますが、就職/転職や結婚というものは、ランチタイムの定食を選ぶほど単純なものではありません。
そうした選び方をすると、結果的にうまくいかなくなったりします。異なる2つの選択肢から1つを選ぶことは、それ以外のすべてを捨てることですから、とてもハイリスクです。
人生に、二者択一はありません。AかBかで決めようとするのは、人生を冒涜しているのと同じ。いろいろな可能性の中から最後は「これだ!」と直感で選んだほうが結果的にうまくいくものです。