水がたっぷり入っているコップに、さらに注ごうとすると、当たり前ですが、あふれ出てこぼれてしまいます。そのコップのどこかに穴が開いていない限り……。
新しい何かを入れようとしても、十分に追加できるスペースがなければ、ポロポロこぼれてしまいます。
せっかく何かを入れようとしても、得られずに終わってしまいます。
「何かを手に入れるためには、何かを捨てなければならない」
まことしやかに言われますが、このことはある程度は本当です。それは、一種の「新陳代謝」です。
もっとも、残っているものをすべて捨てる必要はありません(そうしたいなら、別です)。前から存在するものをある程度は残しながら、新しいものを入れていきます。これが、本当の意味での新陳代謝です。
新しいものを入れるために必要なことは、古くからあるものを一部捨てること。これ以外に、すべきことがあります。それは、「スペースをつくっておく」こと。
新しいものを入れておくスペースをあらかじめつくっておけば、ドンドン追加できます。入らなくてポロポロこぼれる心配もなくなります。
スペースがあれば、「面白い!」「これはいい!」「役に立ちそうだ!」と思った新しいものをドンドン取り入れようとします。だからと言って、そのすべてが、価値のあるものだとは限りません。
新しいだけで、価値がまったくないものもあります。それは、すぐに捨ててもOK。
あるいは古くから残っているものと相性がよくないものも出てきます。その場合は一時保存します。ある程度の時間が経っても相性がよくならないようなら、破棄したほうが無難です。
古くから残っているものと相性がよく、それでいてプラスの効果が得られるもの……。これこそが、本当に取り入れるべきものです。
古いものと新しいものが化学反応を起こして、本人が大いに成長します。ひと皮もふた皮も向けることになります。
こうした変化が起こると、新しいものへの抵抗感がなくなり、ドンドン取り入れるようになっていきます。これが、大人にとっての学習。
その第1歩が、受け入れるスペースをつくっておくことです。