ものごとを早く確実に終わらせるには、集中して取り組む以外にありません。集中できなければ、より遅く、しかもクオリティーも低いままで、終わらせることになってしまいます。
集中とは、目の前のことに自分自身の全神経がピンポイントで向かっている状態。別の言葉で言えば、余計なことは何も考えていない状態です。
「余計なことは考えない」と口では言うのはカンタンですが、意外と難しいものです。もしカンタンならば、24時間のうちほとんど集中できています。現実がそうでないとしたら、逆説的ですが、やはり集中していないということです。
もともと人間は考える生き物ですから、アタマの中に常に複数のことが関心のテーマとして入っています。重要度、緊急度が高いものが中心に位置し、低いものは片隅に待機しています。
状況によって重要度、緊急度が変わりますから、それらが入れ代わり立ち代わりすることになります。
このように常に複数のことを考えているので、思考はいつも活発化しています。もっともらしい言葉で言えば、マルチ思考をしています。
残念ながら、このマルチ思考は、集中の大敵です。目の前のことに集中するためには、余計なことを考えてはいられないのに、アタマの中には思考のテーマがたくさんありすぎます。
「そう言えば、これもやらなくてはいけない」「これを終わらせたあとには、あれをやらないといけないから、サッサとかたづけなくては」……
こんなふうにあとからあとから思考がやって来て、集中したいと思っているのに、見事に邪魔をしてくれます。身に覚えのある人が、たくさんいるはずです。
マルチ思考は人間の特徴でもあり武器でもあるのに、集中を妨げてしまうのですから、なんとも皮肉です。集中したいのであれば、一時的に思考をシャットダウンするしかありません。
そのコツを1つ挙げるとすると、アタマを空っぽにすること。呼吸を整えたり、カラダの力を抜いたり、1分くらい目をつむったりすると、目の前のことに関係なのない一切がアタマの中から消えていきます。
余計なことを考えない状態になって、目の前のことに集中しやすくなります。