仕事ができる人とできない人の違い――。それはいくつかありますが、あえて1つを挙げると、同時並行力のある/なしです。
同時並行力とは、文字どおり複数のことを同時に進めていくこと。仕事の基本中の基本にもかかわらず、これができていない人が驚くほどたくさんいます。
仕事ができない人は、たとえばA、B、Cの3つの仕事を抱えていたとすると、同時並行させることができません。Aだけをやって、残りのB、Cはまったくの手つかず。
あるいはなんとか同時に進めていったとしても、いずれもずさんだったりします。
「1つのことだけをやればいい」というのは、新人時代なら許されることです。
中堅やベテランともなると、同時並行力がないと、「できない人」と見なされかねません。
できる人は、複数の仕事を同時並行させています。そこに特別な秘密などなく、ただそれぞれの仕事をうまく管理しているにすぎません。
あえてノウハウ的なことを言うとすると、締め切りを押さえていることと、優先順位をつけていること。この2つです。
A、B、Cの3つの仕事を抱えているとすると、まずは締め切りが近いものを優先させます。一番近い締め切りがAだとしたら、まずはそれを優先的、かつ集中的に取り組みます。これは、誰もがやっていること。
もっとも、Aにかかりきりになると、残りのB、Cを手がける時間が少なくなってしまいます。
この2つの締め切りが1年後とかならAに専念してもいいですが、そう都合よくできていません。
残りの締め切りも2週間後とか1カ月後とかと決まっています。その状態でAだけをやっていたら、できない人と同じです。
違うのは、Aのメドをつけたら、それを寝かせている間に締め切りの早いほうBに取りかかって、概要をつかむこと。概要をつかんだらAに戻って、一気に仕上げます。
その後にBに取りかかって、メドをつけるまでやります。寝かせている間に残りのCの概要をつかんだら、今度は一気にBを仕上げてしまいます。
それからCを仕上げていきますが、寝かせている間にも、新たな仕事のDやEが入ってくるので、同じように処理します。こういうやり方をずっと続けていきます。
複数の仕事を同時並行させるのは、特別なことではありません。ちょっとした工夫をすればいいだけのこと。少なくともできる人は、その工夫をしています。