人間は,自分を甘やかす生き物です。これはどんな人にも言えることで、1人の例外もありません。
厳しいこと、大変なこと、難しいことが目の前にあれば、ついつい避けて通ろうとします。反対に、ラクなこと、カンタンなこと、やさしいことのほうを選択します。
分かりやすい例を言えば、駅で階段とエスカレーターの両方があるとすると、つい後者を利用してしまう……。
階段を上ったほうが適度な運動になって健康にいいことは十分に分かっているのに、「疲れている」というもっともらしい理由をつけて、エスカレーターのほうに行ってしまいます。身に覚えがある人は、たくさんいるのではないでしょうか。
なぜラクなこと、カンタンなこと、やさしいことを選択する人が多いのかと言うと、それもプラスだから。ただし、「疲れなくて済む」という短期的かつ一時的なプラスです。
それを繰り返していると、足腰が弱くなって、老化を加速させます。ラクなこと、カンタンなこと、やさしいことが積み重なると、長期的にはマイナスにしかなりません。ここが、やっかいなところです。
トータルすると、自分自身を甘やかしてばかりいると、プラスはゼロ。成長は、夢のまた夢。ドンドン退化してしまいます。
そのことを痛感した人は、「これではいけない」と、自分自身を戒めるようになります。ラクなこと、カンタンなこと、やさしいことではなく、厳しいこと、大変なこと、難しいことのほうを選択していきます。
厳しいこと、大変なこと、難しいことは、自ら選ぶべきものです。それは、駅の階段を上るようなもの。
確実に言えるのは、やればやるほど、「成長」というリターンが返ってくること。やったとしても、自分にとってマイナスになることは一切ありません。
おそらくすべての人は、そのことを認識しています。プラスになると分かっていても、ついラクなこと、カンタンなこと、やさしいことを選択してしまうのは、やはり人間が自分自身を甘やかす生き物だから。
このことを逆に言うと、自分自身を甘やかすことがなければ、自然に成長できてしまうということになります。