人間のココロは、もともとそんなに強くはできてはいません。むしろもろく、傷つきやすくできています。世の中に、「ココロが強い人」などいません。意外に思うかもしれないですが、これは事実です。
「あの人はココロが強い」……
確かにそのように見受けられる人はいますが、本当にそうなのかと言うと、疑問符がつきます。考えられる可能性は、2つ。おそらくそのどちらかです。
1つは、ココロが強いふりをしている。ココロを「強くしたい」と思ってはいますが、どちらかと言うと、無感情になっています。
感情をなくしているので喜怒哀楽がまったくなく、それを「ココロが強い」ことだとカン違いしています。
現実には傷つくこともあるし、それを隠して強がっているので、ココロはボロボロ状態。これを続けていると、本当に無感情になってしまいます。
もう1つは、ココロが乱れないようにしている。「強いふりをしている」のと同じに見えますが、根本的に異なります。
よくないことや、突発的なトラブルが起きると、不安や落胆、後悔といった気持ちになります。
恐怖を覚える人もいます。そうした感情を否定せずに、ひとまず受け入れます。そのうえでその感情が広がらないように、ココロを安定させます。
それが、「ココロを乱さない」ということ。ココロが乱れなければ、目の前に起きていることに冷静かつ迅速に対処できます。
もっとも、素早く対処したとしても、すぐに解決できるわけではありません。一進一退、悪戦苦闘もします。
そうした思わしくない状況にあっても、ココロが乱れていなければ、根気よく続けていけます。感情はあるのでうまくいかないと悔しい思いをしますが、引きずることはありません。
またココロが傷つくこともなくなります。解決するまで冷静かつ迅速に取り組んでいる姿が、周りからは「ココロが強い」ように見えますが、乱れていないだけです。
ココロを強くすることは、どんな人でもできることではありません。ただし、乱れないようにするのは、誰にとっても可能です。
「ココロが強い」と思われている人は、乱さないようにしています。強くすることができないから、せめてココロを乱さないようにしたいものです。