仕事を頼むとき、「とにかくなんでもいいからやってくれ」と言う人はまずいません。仕上げてくれるスピードやクオリティーについては、その人なりの基準を持っているものです。
その基準を満たしていれば、当然ながら、「いい仕事をした」と思うようになります。
反対に、満たしていなければ、「頼むんじゃなかった」とガッカリします。
これは自分が仕事を頼むときだけに当てはまることではありません。逆の場合、つまり、仕事を頼まれるときも同じです。
相手の基準を満たしていれば、「いい仕事をした」と評価されます。満たしていなければ、「頼んだのは失敗だ」と言われてしまいます。
その基準は、実は3段階あります。そのどこに当てはまるのかによって、次につながることもあれば、そうならないこともあります。
1つ目が、「これくらいはやってもらわないと困る」という要件。最低限の基準なので、これは誰もが満たさなければなりません。
満たしたとしても、必要最低限なので、頼んだほうが満足しているかどうかは微妙です。ここにとどまっている限り、「次はない」と思ったほうがいいです。
2つ目が、「これくらいはやってくれそうだ」という期待。要件をはるかに上回っていて、スピードやクオリティーに対する基準も段違いです。
これを満たしていると、頼んだほうが満足します。「次もお願いするよ」と言われる可能性が大ですが、さらに期待を上回る人に仕事が移ってしまうこともあり得ます。
3つ目が、「こんなにやってくれるなんて!」という感動。期待をはるかに上回っていて、スピードやクオリティーに対する基準は驚くほどのレベルに達しています。
これを満たしていると、頼んだほうが感動のあまり震えてしまいます。「こちらが頭を下げてまでお願いしたい」と言われる展開になるのは間違いありません。
ここまでのレベルに達する人はまずいないので、継続的に仕事をすることになります。
ひと口に基準を満たすといっても、合わせるレベルによっては、雲泥の差が生じます。満たすのであれば、要件より期待。期待より感動。
どこに合わせるかは、その人の自由ですが、その満たした基準によって、次の仕事が来るか来ないかが決まってしまいます。