世の中には、「似て非なるもの」がたくさんあります。そのうちの1つの組み合わせが、真面目と誠実です。
両者を同じようなものと考えている人は、たくさんいます。もしかしたら、あなたもその1人かもしれません。
この2つは、まったく異なります。混同してしまう人がいるのも、分からないでもありません。
真面目な人に「誠実ですね」と語りかける。反対に、誠実な人に「真面目ですね」と言ってしまう……。
実際に誤用してしまったら、気づいているかどうかは別として、相手に大変失礼です。きちんと使い分けたいものです。
真面目な人は、ルールや時間を厳守します。何ごとにも責任感を持って取り組みます。ウソを言ったり、ズルをしたりすることもありません。
誠実な人も、ルールや時間を守ります。どんなことにも責任感を持って取り組みます。いいかげんなことを言ったり、ゴマカシをしたりすることもありません。
こう見ていくと、真面目な人も誠実な人も、どちらも仕事を完全に任せることができます。また任せると、こちらの期待に応えようとします。
ここまでは、ほぼ共通しています。違いが出るのは、ここから。
真面目な人は、決まりごとを必ず守ります。それを守ろうとしない人に厳しく当たることもあります。
権威のある人やエライ人の言うことにも忠実。自分以外の何か/誰かに価値を見出しているところがあります。自分のうちにあるものをあまり重んじていません。
誠実な人は、決まりごとを守ろうとしますが、絶対視しません。自分たちの選択や行動を妨げるものなら、それを変えようとします。
権威のある人やエライ人には、是々非々で対応します。自分の中にあるものに価値を見出しますが、身の回りの人たちのことも大切にします。
むしろその人たちのために、自分ができることをすべてやろうとします。
真面目な人は、世間体を重んじる。誠実な人は、自分の中にあるものや周りを大切にする――。これだけの違いがあるのですから、混同していいはずがありません。