「こういう商品は絶対にイケる!」「こういうサービスがあるといい」……
新商品や新サービスを考えるときに、まずは自分の「あったらいいな」という願望がモトになります。それは、自分の主観がベースになっているということ。
「私が『欲しい』と思っているんだから、ほかの人も求めているに違いない」……
そんなふうに思って、新商品・新サービスのモトを具体化できるように企画書や仕様書をつくったりして、ドンドン進めていきます。このこと自体は、おそくらあらゆる業態に通じることです。
始まりは、自分の思い。自分が「やりたい」と思っていることを推し進めていくのは悪いことではありません。躊躇することなく、進めていくべきです。
その一方で、「あったらいいな」と思っているのは本人だけで、ほかの人は「そんなものはいらないよ」と鬱陶しく感じていることもあり得ます。
実際に商品化・サービス化するには、どれだけのニーズがあるのかを精査する必要があります。
それなしに「あったらいいな」という願望を実現させても、待ち望んでいた人が「まったくいなかった」ということになりかねません。
そうかと言って、世の中のニーズばかり着目しても、自分の「あったらいいな」という願望が満たされないので、やる気が湧かなかったり発想自体が画一化したりして、それはそれで問題が生じてきます。
結局のところ、自分の思いは大切にしながらも、それを世の中のニーズとすり合わせることをしなければ、商品化・サービス化してもうまくはいかないものです。
発想の泉が枯渇することなく世の中のニーズともうまくマッチさせていくには、コツがあります。それは、自分自身が「シビアな目を持つ」こと。
「あったらいいな」という願望に対して、自分自身が「世の中の人が求めているものかな?」「欲しがっているのは私だけではないのかな?」というシビアな目で見ていきます。
自分の中から出てきたものを客観的に判断していくことにほかなりません。
手放しで礼賛するでもなく、重箱の隅をつつくでもなく、冷静かつ興味深く自分自身が考えたことを見ていけば、世の中のニーズとマッチするかどうかは見えてきます。
その自分のシビアな目で見て「イケそうだ!」と難関を通過したものであれば、うまくいく可能性はかなり高くなります。
シビアな目は、人に向けるものではありません。自分自身に向けるべきものです。