組織内では、誰が何をやるという担当があらかじめ決まっています。
その組織が大きくなればなるほどやるべきことがたくさんあって、明確に分担されていないと、1つのことを複数の人がやってしまうという非効率なことが起こりかねません。
かかわるすべての人の担当が決められていると、「これだけやればいい」と分かっているから、それに専念できます。
一見すると、担当がきっちり決まっていることはいいことずくめのようですが、別の弊害もあります。自分の担当するもの以外はやろうとしないし、関心も持とうとしなくなることです。
どんな組織にも言えることですが、担当の決まっていないものごとはいくつかあります。よくあるのが、共同で使う機器のメンテナンス。
たとえば、多くの人が共同で使うプリンターのトナーや出力紙が切れてしまったとき。その取り換えや補充は、誰かがやらなければなりません。
こういうことはすべての人ができることであり、また誰がやってもいいことなので、意外に担当が決まっていないものです。
「これは私の担当ではない」「なんで私がやらなければいけないのか」と言って、誰かがやるのをアテにして、自分自身はやらない。
あるいは、自分自身がすぐに使うわけでもないのに、周りの人のことを考えて「取り換え(補充し)ないと困るな」と、率先してやろうとする……。
この2つのうち、どちらの対応をするのかで、その人の伸びしろのある/なしを判断できてしまいます。
どちらに「伸びしろ」があるのかと言えば、問答無用で後者です。何か困ったことが起きたときに、進んでその解決に乗り出す人は、周りへの配慮も行動力もあるので、ドンドン成長していきます。
また本人になんらかの問題が起きたときには、周りが助けてくれます。自分自身の意欲と行動にプラスして周りのあと押しもあるので、成長ペースは加速していきます。
組織の中にたくさんの人がいると、「自分がやらなくてもいい」「手が空いている人がやればいい」と誰かをアテにする気持ちを持つようになりがちですが、それは自分の成長の芽を摘むことにほかなりません。
周りをアテにするのは、協力や応援をしてもらうこととは異なります。
それは、甘えであり、依存。誰かをアテにするのはいいことではありません。