2021.1.12.

「かける」と「かかる」は違う、、、

明確な違いがあるにもかかわらず、同じような意味だと思って何気なしに口にしている言葉が、いくつかあります。その言葉の使い方次第で本人の行動がどんな結果をもたらすのか分かってしまうにもかかわらず……。
例を挙げると、「かける」と「かかる」です。予算や時間がオーバーしてしまったときに、「こんなにお金/時間がかかってしまった……」と口にする人はたくさんいます。もしかしたら、あなたもその1人かもしれません。
「かかってしまった……」という言い方には、最初からそのつもりはなかったのに、結果として「オーバーしてしまった」というニュアンスが含まれています。
まるで不可抗力があったから、そういう事態を招いてしまったかのような言い方をしていますが、明確に異なります。
たんに事前の準備不足、想定の甘さが招いただけのことです。明らかに言い訳。
非は、本人にあります。見積もりをとるとかダンドリをするとかしていれば、「お金/時間がかかってしまった……」なんて事態は回避できたはずです。事前の行動が甘かったのですから、「かかってしまった……」なんて言うのはおこがましいことです。
一方の「かけた」は、事前に準備も想定もしっかりしている人が口にする言葉です。求める結果を出すには、「これだけのお金/時間が必要だから、事前に調整して捻出した」というニュアンスが込められています。
結果を出すためには、お金も時間も必要。費用対効果を考えながら、お金や時間をやり繰りするのは、ひと筋縄ではいかないものです。各所との調整も不可避。
それだけの行動を事前にしたのですから、「かかってしまった……」なんていう言葉が口を衝いて出てくるはずがありません。
自分でもしっかり行動したことが分かっているから「お金/時間をかけた」とキッパリ言います。そこには、不退転の強い決意が感じられます。
「かける」と「かかる」という同じような言葉を使っていても、行動する人の気持ちや、その結果はまったく異なります。両者を混同するような人は、行動と気持ちの両面での甘さがありますから、結果を出せるはずがありません。
「かける」と「かかる」――。この2つのどちらを使っているかで、その人の行動の結果を予測できてしまいます。その的中度は、身震いが止まらなくなるほどです。