取り組んでいたものごとが失敗に終わったり、頓挫したりしとき、悔しさや無念さといった気持ちが、胸に込み上げてきます。このときこんなふうに自分の気持ちを整理する人がいます。
「うまくいかなかったけど、これでよかったんだ」……
そんなふうに思ったことがある人は、少なくないはずです。もしかしたら、あなたもその1人かもしれません。
このやり方は、うまくいかなかったことを悲観せずに前向きにとらえているように見えます。同時に、ゼロからのスタートになる自分を鼓舞したり励ましたりする効果があるように見えます。
心機一転、リスタートを図る言葉のように見えますが、そんなことはありません。むしろ自分自身に見えない傷を残すことになります。そのことに気づいている人は、それほど多くはありません。
「これでよかった」は、うまくいかなかった自分自身を慰める言葉です。それ自体は悪くはないですが、うまくいかない自分をムリやりに納得させようとしています。
無念で悔しい自分のココロを静めるために、やむを得ずそういう言葉を使って、強引に言い聞かせるだけです。
「よかった」という前向きな言葉を使って、うまくいかなかった自分を納得させようとしています。これは、自分自身を欺いています。
本心では納得していないのですから、どんな美辞麗句を使おうとも同じです。
もしうまくいかなかった事実を受け入れて、かつ納得していたら、いつまでも悔しさや無念さにとらわれてはいません。失敗を糧にして、すでに次に向けて動き出しています。とっくに心機一転、リスタートしています。
このとき、「これでよかった」なんてあいまいな言葉は使いません。出てくる言葉は、具体的かつ明確です。
「今度はこういうことをしよう」「ここを重点的にやろう」「ここから始めよう」……
これからやるべきことがハッキリしているから、瞬時に動き出します。そう、自分自身を慰めているヒマもありません。
ムリやりに自分自身を納得させようとすること自体が、無念さ、悔しさにいつまでもとられている証拠です。