誰の人生にも、プラスとマイナスがあります。両方があるから、充実した人生が可能になります。もしどちらか1つだけの人生だったら、たとえばプラスだけの人生だったとしたら、極めて味気なくてつまらないものになると言っても、過言ではありません。
「そんなことはないですよ。プラスだけの人生だったら、最高ですよ」……
こんなふうに異を唱える人は、多そうです。確かにマイナスよりプラスのほうがいいに決まっています。だからと言って、プラスしかない人生は、やはりマイナスです。
プラスだけの人生だったとしたら、「もっと成長しよう」という気持ちを一切持たなくなります。
なんの努力もしなくても、人生が勝手にいい方向へ行ってしまうのですから、味気ないし喜びもありません。成長がなければ、当然、感動することもなくなります。
人間には、あまのじゃくなところがあって、プラスしかないと、対極にあるマイナスを求めたくなるものです。プラスに飽きてくると、明らかに「マイナスになる」と分かっていることを選ぶようになっていきます。
望みどおりマイナスばかりが起こって喜ぶようになる屈折した心理が、人間にはあります。
マイナスばかりが起こると、努力を怠っていたがゆえにそこから抜けられなくなります。そのとき初めてプラスばかりの人生のありがたみを痛感しますが、あとの祭り。
一方のマイナスばかりの人生は、確かに苦痛です。現実的なことを言えば、よくないこと、面白くないこと、失敗ばかりのほうが多く、それらが続きます。
その渦中にあるときは、「どうして自分ばかり……」と、うらめしく感じるものです。「なんでこんなことばかり起こるのか?」と、不公平を嘆くこともあるかもしれません。
マイナスが長く続くからこそ、そこから抜け出そうとます。この苦痛の日々があるから、現状を改善改良して、プラスが多くなるような行動をするようになります。またその改善改良の行動が、自分自身を成長させていきます。
マイナスがあるのは、一概に悪いことではありません。マイナスがあるから、現状を改善改良してプラスが多い人生を目指すようになります。
プラスがあるのはいいことですが、そればかりだと、成長意欲をなくしがちです。怠惰になる人が続出するし、「一寸先は闇」に陥りかねません。
プラスとマイナスの両方があるから、自分自身を戒め、成長させる方向に導いてくれます。どちらか一方しかないのは、ナンセンス。両方があるから、人生が充実していきます。