「それは違います。そんなことはあり得ません」「本当はこうです。なんで分かってくれないですか」「だから、さっきから何回も言っているじゃないですか!」……
自分の行動について他人から批判されたら、その言い分がたとえ正しいとしても、誰だってイヤなものです。傷つく人もいるかもしれません。
なかにはムキになって、反論する人もいます。もしかしたら、あなたもその1人かもしれません。
反論することは、悪いことではありません。あなたに落ち度があったとしても、その機会は与えられています。
もしそれさえ許されなかったら、所属する組織やその関係性が歪んでいます。言いたいことがあるのなら、しっかり反論すべきです。
とは言っても、ムキになって反論するのはいいことではありません。あなたが正しいとしても、これでは相手の心証を害するだけでなく、自分の立場を決定的に悪くしてしまいます。
してはいけない反論の方法であり、独善的になっている証拠です。
ムキになって反論するあなたは、「自分だけが正しい」と思い込んでいます。
相手が「間違っている」という前提に立っているから、批判されることが心外で、許せなくなっています。ムキになってしまう原因は、ここにあります。
あなたが「正しい」としても、相手が「正しくない」とは限りません。世の中には、たくさんの正しいことがあります。
「あなたも正しい」「相手も正しい」ということは往々にあって、そのときどきの都合によって、どちらかが採用されたりします。
理不尽に思うかもそしれませんが、多数決によって、正しいほうが決められることも「ない」わけではありません。
ムキになって反論すると、相手を追いつめることになり、あなたの立場を悪くする可能性が多くなるだけです。
反論の仕方はいろいろあるのですから、自分の主張が認められるようにする、最低でも立場が悪くならないようにする方法を模索すべきです。
自分だけではなく、相手にも「正しいところはある」と認めていくと、「この部分は向こうの言い分がもっともだから、直さなくてはいけない」と、自分の「非」に気づけるようになります。100%正しい人などいないのですから、それも当然です。
自分にも非があると分かれば、ムキになることもなくなります。必要なところだけ反論するようになって、議論も相手との関係も深まるようになっていくものです。