壁を蹴飛ばす。モノを投げつける。誰彼かまわずに暴言を吐く……。
こういう行動を「八つ当たり」と言います。見苦しい、かつ不快な行動で、そういう人を見ると、思わず眉をひそめたくなります。
「あなたはよく八つ当たりしますか?」
こう聞くと、ほとんどの人が「そんなことはしませんよ」と、キッパリ否定します。ある程度の年齢を重ねれば、自分の気持ちをコントロールできるようになるので、そういうみっともない行動はしなくなるものです。
別に難癖をつけるわけではありませんが、その「NO」が本当かどうかは怪しいものです。否定した人のほぼすべてが、八つ当たりしているに違いありません。
八つ当たりとは、不満や怒りを人やモノに対して直接、ぶつけることです。その人やモノは怒りや不満とは直接的に関係がないことが多く、早い話が「巻き添え」にされています。感情をぶつけられたほうは、まさに「お気の毒」としか言いようがありません。
確かにあなたは、そんなみっともないことはしていないようです。それでは、次のようなことは、身に覚えはありませんか。
たとえば、一生懸命やったのに、思うような結果が得られず、悔しさのあまり自分自身に対して、「何やってんだよ、バカ」と罵声を浴びせる。あるいは、努力のかいなく失敗した自分自身に対して、「もともとムリなんだよね」と冷たく突き放す……。
こういう自分自身を否定することを言っているとすれば、紛れもなくそれも八つ当たりです。もう1度、聞いてみます。
「あなたは本当に八つ当たりをしていませんか?」
一生懸命やったのに、結果が出なかった……。こういうことは、日常茶飯事です。
結果が出ないからと言って、ひどい言葉をかけているとすれば、それはあなたが怒りや不満を自分自身に直接ぶつけていることになります。
自分の気持ちをまったくコントロールできていません。無意識にしているので、人やモノに八つ当たりするより、よほどタチが悪いと言えます。
どんな事情があれ、八つ当たりをするのは人間として未熟な証拠。人やモノに対してしていなくても、自分自身にしているとすれば、やはり「同じ穴のムジナ」です。