組織の中で自分のやりたいことをやろうとするのは、大変なことです。どんなに素晴らしい企画を考えても、反対する人は必ずいます。
面と向かって反対する人もいれば、陰で足を引っ張る人もいます。難癖をつけたいだけの人もいれば、「味方だ」と思っていたのに後ろから鉄砲で打ってくる人も「いない」とは言い切れません。
自分のやろうとしていることを反対する人たちに潰されてしまうのは、残念なことです。そういう人たちに反対されないようには、先手を打っておくに限ります。
自分のやろうとすることに対して、どんな人が反対しそうなのかは、なんとなくでも分かるものです。「これはAさんとBさんが反発するだろうな」と思ったら、これからやろうとすることを表明する前に、事前に耳に入れておきます。
ただ「こういうことをやります」と言うのでは、芸がなさすぎます。それには、ある工夫が必要です。
ズバリ、「共犯関係になる」こと。
こう言うと、「穏やかではないな」と思う人もいるかもしれません。具体的に何をするのかと言うと、その反対しそうな人にアドバイスしてもらうこと。
「こういうことをやりたいのですが、A(B)さんならきっとうまく進めていけるに違いないと思って、おうかがいしました。ぜひご高説を賜りたいです」……
こんなふうに言われて、気分を悪くする人はまずいません。BさんやAさんがこれからやろうとすることに精通しているかどうかは関係なくて、とにかくひと言でいいからコメントしてもらいます。
その際に、「なるほど。そういう考え方もあるのですね」と、オーバーすぎるくらいにリアクションをします。ちなみに、その高説を実際に採用するかどうかは、考慮しなくていいことです。
「AさんやBさんから事前にアドバイスを頂いて、あと押ししてもらいました」……
やりたいことを表明するときにそうつけ加えると、この2人は面と向かって反対もできないし、陰で足を引っ張ることもできなくなります。
なぜなら共犯関係にあるから……。
こうして反対する人を1人2人と減らしていけば、組織の中でやりたいことをうまく進めていくことができます。
反対する人を味方にしないまでも共犯関係にまで持ち込む芸を身につけておくのは、一種の「スキル」です。