2022.8.6.

地位にとどまるのが、責任を果たすことではない、、、

「先頭に立って、引き続き責任を果たしていくのが、私の務めです」……

 不祥事が起きたときに、組織のトップが会見を開いてこんなふうに引責辞任を否定する発言をすることがあります。もっともらしいことを言っていますが、こんな発言をする人は、はなはだしいカン違いをしています。

 不祥事が起きたから、辞任する。それは、1つの出処進退。不祥事が起きたことを反省して、2度と同じことが起こらないように組織を改革するのも、1つの出処進退。

 多くの人は、前者を「責任をとる」ことだと思って、後者を「往生際が悪い」ことだととらえています。実は、どちらもきちんと「責任をとっている」とは言えません。

前者は、アッサリその地位から退いただけ。こう言うと、後者のほうが「責任をとる」ように思う人もいそうですが、それも違います。不祥事が起きたときにトップがとるべき責任とは、組織をそれ以前よりはるかに健全に成長させることです。

たとえば、迷惑をかけた相手側に補償をして、なおかつその後も引き続き役に立っていくこと。失った信用を取り戻せるように、社会全体に対してなんらかの貢献をしていくこと。再び成長できるように、末端に至るまで組織を改革していくこと――。

これら3つをすべて実現していくのが、「責任をとる」ことです。それをしっかり実行していけるのであれば、引き続き、その地位にとどまるのは問題ありません。

もしこれらを1つも実行できないのであれば、明らかな責任放棄。恋々と地位にしがみついているだけので、「情けない」または「みっともない」と言うほかありません。

組織のトップが3つの行動を「実行できない」と思うのなら、すぐにでも辞めるべきです。それは、一面では「逃げた」ということですが、あとに続く人がきちんと実行できるのであれば、「後進に道を譲った」ことになります。なんら非難されるべきものではなく、自分の力量をきちんと把握した賢明な判断と言えます。

悩ましいのは、トップが自分では3つの行動を「できる」と思って、その地位にとどまったとき。やってみるとうまくいかなくて、1つも「実行できない」というケースは多く発生しています。「日常茶飯事」と言ってもいいくらいです。

この場合は「できない」と分かった時点で、自ら退いて後進にその地位を譲ってもらいます。もし辞めようとしないのなら、外部の力を利用してでもリタイアしてもらうしかありません。なおかつ、きちんと実行できる人がトップに就くようにします。

(朝の独り言)人と長くお付き合いしていくと、特に年齢が下の方が 仕事も人としてもどんどん成長していることが嬉しくなります。応援していた人が応援してくれる立場になることなど、感謝です。ただ、さらに大きな目標に向かう為のアドバイスをするのも自分の役割と考えています。そのためには、老けることなく、自分自身も成長しなくてはなりません。
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