考えるのは、何かを始める前。始めたら、あとはトコトン行動する――。
そのくらい割り切ったほうが、うまくいくものです。思考と行動のバランスもとれるようになります。
その顕著な例としては、プレゼンが挙げられます。役員会であれクライアントが設定したコンペであれ、その前日までは台本の構成について、一生懸命考えます。リハーサルを何度もやって改善点を洗い出し、対策もしっかり考えます。
そうして迎えた当日。自分の番が来たら、前日までにたくさんやってきたことを何も考えずにそのままやっていきます。
いざプレゼンが始まったら、考えることは何もありません。台本どおりにきちっとやれば、結果はおのずと出るはずです。
むしろ始まってから、「これでいいのかな?」「次はこうやって、その次はこうしよう」と、あれこれ考えるようではダメです。考えながらやっていては、動きが止まったり、ぎこちなくなったりします。
その様子は、相手に挙動不審としか映りません。「ちゃんと考えてきたのかな?」と準備不足として認識されてしまいます。たとえ十分な準備をしてきたとしても……。
私は何も「考えなくていい」と言っているのではありません。考えるのは、「事前にしっかりやることだ」と言いたいだけです。
やる前はあらゆることを想定しながら、基本的な台本やプロットをつくって、それをアタマに徹底して叩き込みます。何があっても、それが無意識にできるようになるまでリハーサルを繰り返します。同時に、想定外の出来事があっても困らないようなシミュレーションをして、対策を考えていきます。
考えるのは、ここまで。これくらい事前にしっかり考えたら、行動するのみです。
事前にここまで考えたら、安心して行動できます。もし事前に徹底的にやらないとしたら、始まってから考えることになりますが、それでは遅すぎます。起こった出来事に終始、場当たり的対応をすることになり、結果を出すことなど望むべくもありません。
始まってからは何も考えない――。それは結果を出すために、事前にしっかり考えることにほかなりません。