「冬来りなば春遠からじ」
これはイギリスの詩人、シェリーの詩の一説です。
長く厳しい冬が来たということは、暖かい春がもうすぐやって来ることを指しています。
実際には、「今は厳しくつらい状況にあるとしても、その苦しみを耐え忍んでいれば、いずれ幸せな時期を迎えられる」ことのたとえです。
季節のことはたとえだとしても、北国に住む人には、リアリティーのある言葉として受け止める人が多いような気がします。
季節は、移り変わります。長く厳しい冬のただ中にいると、鬱屈した気分にもなります。「まだまだ続く」と思いがちですが、1日ごとに春の訪れが近づいているのも事実です。
目の前の現実ではなく、少し先に視線を移せば、新しい季節がもうすぐやって来る予兆があります。
「雪の降る量が少なくなった」「風が冷たくなくなった」「日の出が早くなった」……。
春の訪れは、そこかしこに見られます。それに気づけば、「春が遠くない」ことを肌で感じられるようになります。
季節は、勝手に移り変わります。大まかなメドはあっても、いつ来ていつ去るかは、正確には決まってはいません。その意味では、気まぐれ。
ただし、同じ季節がずっと居座ることはありません。また春を飛び越えて、夏や秋がやって来ることもないです。
「春になったら、こんなことをしよう」「今度の春には、あれをやろう」……
あれこれ準備しながら、もうすぐ来る次の季節を「今か、今か」と待ち構えていたいものです。このことは、人生についても言えます。
今のあなたがつらく厳しい状況にあるとしても、その苦しみがずっと続くわけではありません。永遠に続く苦しみなど皆無です。
春のように「もうすぐ来る」と実感できないかもしれませんが、苦しみを克服した喜びを迎え入れる日がやって来ます。
季節のような大まかなメドがないから、余計につらく厳しく感じてしまいますが、あなた自身が苦しみから解放される日は必ず来ます。あなたがしっかりやるべきことをやっている限り……。
今の状況をつらく厳しく感じるあなたに、最後にこの言葉を贈ることにします。苦しみ来りなば喜び遠からじ――。