山あり谷あり。ときには地獄あり。
好むと好まざるとにかかわらず、それが、人生です。それに「いい悪い」を言っても始まりません。
「地獄もあるんですか?」
なかには困惑する人もいそうですが、行く人は少なからずいます。別に脅かして言っているわけではありません。
山を登るのと谷を降りるのとで、どちらが「つらいか?」と言われれば、前者です。つらいから山を登らないとしたら、降りる谷もなくなります。
谷を降りるのが「快適だ」と感じるようになるには、それだけ高い山を登らなければなりません。山があるから、谷があります。山を登るのが「つらい」とすれば、その谷を快適に降りていくという意味があってのことです。
もし谷だけしかなかったら、つらいことが何もないので、ドンドンドンドン降りていってしまいます。安きに流れて、地獄にたどり着くことが「ない」とは言えません。そう、ラクをしすぎる人がいつの間にか地獄に行ってしまいます。
そこから抜け出すには、ひたすら登って這い上がっていくしかありません。どのくらい登れば、元のところに戻れるのかは、不明です。
少なくとも降りてきた何十倍、何百倍の時間と労力がかかります。おそらくこのとき本人はこう思います。
「これに比べれば、山を登るほうがラクだったな……」
うまくいかないことがあれば、うまくいくこともある。つらいことがあれば、楽しいこともある。それが、人生――。どちらか一方だけの人生を選ぶことはできません。
うまくいかないことと、うまくいくことはセット。つらいことと、楽しいこともセット。
誰にも両方ありますが、その割合は自分で変えることができます。また先天的に決まっているわけでもありません。「谷だけの人生」「山だけの人生」、ましてや「地獄だけの人生」などないのです。
うまくいかないことを少なくして、うまくいくことを多くする。つらいことを少なくして、楽しいことを多くする――。
そうやって山も谷もある、できればうまくいくこと、楽しいことが多くなる人生を自分でつくっていきます。その方法は、1人1人異なります。