「もう少し慎重に考えたほうがいいよ」
何かをやろうとするときに、こんなアドバイスをしてくれる上司がいます。
こう言われたら、部下のほとんどは「はい、もう少し考えてみます」と答えます。おそらくこれはどこにでもあるやりとりです。
その数日後、部下が精力的に活動しているのを見ると、上司の顔色がみるみる変わっていきます。続けて、「あれほど『慎重に考えろ』と言ったのに、何をやっているだ!」と言い放ちます。あまりの剣幕に部下は一瞬たじろぎますが、気を取り直してこう言います。
「慎重に考えた結果、やることにしました」……
こんな上司と部下のすれ違いも、日常茶飯事です。なぜこんなことが起こるのかと言えば、両者の間に「慎重」という言葉に対する解釈の違いがあったからです。
どちらが誤解しているかと言えば、紛れもなく上司です。こういうと、あなたは意外に感じるでしょうか。
慎重とは、注意深くすることです。補足して言えば、全神経を傾けること。
「慎重に」と上司に言われた部下は、全神経を傾けて考えた結果、やろうとしたことを予定どおりに進めただけです。
上司の指示に従ったのですから、怒られる理由おありません。なぜ上司が起こっているのか、理解に苦しんでいます。
一方の上司は、慎重を「様子見」だと思っています。別の言葉に置き換えれば、中止に近い保留です。
上司にすれば、慎重に考えるとは、「やらないほうがいい」ということになります。これは、明らかに言葉の誤解が招いた上司の指示不足です。
もし「やらないほうがいい」と思っていたら、率直にそう言うべきです。それなのに「慎重に」と言ってしまうから、部下は全神経を傾けて考えた結果、行動を進めていきます。笑えないコミュニケーション不全です。
慎重と様子見は違います。様子見は、何もしないこと。
それは、明らかに慎重とは一線を画しています。「慎重に」と言いながら、様子見をしている人は本当に多いものです。
(朝の独り言⭐︎)
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