仕事ができる人で、「要領がいい人」など1人もいません。もし要領がよかったとしたら、その人は仕事ができるようにはなっていないはずです。
なぜなら要領がよかったとしたら、決して成長することなどないから……。成長しない以上、仕事ができるはずがありません。そこには、明確な相関関係があります。
もしあなたが「エッ、そうなんですか?」と聞き返そうものなら、本質をとらえていない証拠です。「仕事ができる人は、要領がいい」は、明らかに間違いです。
要領とは、たんなる手抜きです。やるべきことを省いたり簡素化したりして、人より速く処理してしまうこと。そんなことをしている人が成長するはずがないし、仕事ができるようにはならないものです。これは、当然の帰結です。
確かにスピーディーにこなしているので、表面的には「仕事ができる」ように見えます。「彼/彼女はなかなかやるな」とカン違いする人が続出します。
それは、表面しか見ていないから……。子細にその仕事ぶりを見ていくと、アラやモレ、抜けが至るところにあります。
最初は感心していた人も、成し遂げた仕事のクオリティーを見て、ガクゼンとします。手抜きをしていたことが発覚したときには、やり直しをする羽目になって、テンヤワンヤになります。そうなるのは、最初から分かっていたことなのに……。
もっとも、手抜きをしていた本人は、自分の仕事に「アラやモレ、抜けがある」という自覚がありません。スピーディーに処理することに自信を持って、ますます仕事を要領よくこなそうとします。
こうしてドンドン自爆していき、やがて誰も彼女/彼に仕事を頼まなくなっていきます。
要領よくこなしていると、自分が「仕事をテキパキとこなしている」かのような錯覚に陥ります。これが、一番危険なところです。要領を追求する限り、仕事ができるようにはなりません。これは多くの人がしている誤解です。
仕事ができる人は、要領を求めません。丁寧かつ全力で取り組んでいるので、いつの間にかスピーディーに処理できるようになり、手際がよくなっていきます。
追求するなら、手際のよさ――。それは、要領とは異なります。
あなたは今日、丁寧かつ全力で仕事に取り組みましたか。すべてを手際よく処理できましたか?