話し方と聞き方――。どちらも身につけておくべきものですが、往々にして注目されるのは前者です。
話し方についての本もたくさん出ていますし、それに関連するセミナーも頻繁に開かれています。
一方、聞き方についての本となると、話し方の何分の一、あるいは何十分の一です。聞き方セミナーもめったにお目にかかれません。
これだけ格差があるのは、「聞き方が大事だ」と認識している人が少ないからでもあります。本当のことを言うと、聞き方が何か分かっている人がほとんどいないからです。
残念ながら、聞き方とはたんに相手の話を聞いているだけのことだと思っている人が多いのが現実です。この程度の理解であれば、「話し方を身につけよう」と思う人が多くなるのもムリはありません。
聞き方とは、相手のよさを引き出すことです。いい聞き方ができる人は、相手の話を真剣に聞いて、本人が気づいていないよさや魅力をオープンにする技量があります。
会話における話し手と聞き手は、野球のバッテリーみたいなものです。話し手がピッチャーで、聞き手がキャッチャーです。
いくら160キロの剛速球を投げるピッチャーでもキャッチャーがうまくリードしてくれなければ、相手チームにカンタンに打たれてしまいます。
ピッチャーのよさを引き出すリードをするのが、キャッチャーの務めです。それができるのが、名キャッチャーにほかなりません。
会話において、このキャッチャーに相当するのが、聞き手です。話し手は、もちろんピッチャーで、こちらが主役です。
その話し手のよさを引き出すのは、聞き手です。会話を主導するのは、あくまでも聞き手です。つまり、会話を面白くするのもつまらなくするのも、聞き手次第ということになります。
従って、いい聞き方をしていれば、「あの人と話がしたい」「あの人と会いたい」と多くの人が思うようになります。それは、自分のよさを引き出してもらえるから……。
あなたが「話し方が上手だ」と自負しているのであれば、いい聞き方を身につければ、もっと魅力的になれます。
反対に、「話し方がうまくない」と思っているのであれば、いい聞き方を身につけるようにすれば、それだけで魅力的な人間になることができます。
(朝の独り言☆)
五月になりましたね!本当に時間がたつのが、早く感じます。