「役に立つことしなさい」
こういうことを言われたら、多くの人が「そうですよね」と、賛同します。実際にそういう行動をしているかどうかは別として……。
この言葉に反発するのは、よほどのひねくれ者か、反抗期の子どもぐらいでしょうか。それでも子どもは、大人になれば、できる/できないはともかく、「役に立つ行動は大事だ」と思うようになります。
役に立つ行動と言っても、実は2つあります。1つは、人の役に立つ行動。もう1つは、自分の役に立つ行動。
多くの人が考えているのは、前者だけ。そう言っても、過言ではありません。
困っている人を助ける。誰もがやりたがらないことを率先してやる。誰かのために、自分ができる最大限のことをする……。
そうした他人のためにする行動は、尊いものです。なかなかできることではないから、そういう行動ができる人は、一目置かれます。
確かに人の役に立つことは、大事です。それと同じくらい、自分の役に立つ行動も大事です。むしろ人の役に立つためにも、それをしなければなりません。
自分の役に立つ行動とは、持っている知識・スキル・経験をレベルアップさせること。言い換えれば、自分自身を大きく成長させること。
レベルアップした自分だから、人の役に立つことができます。持っている知識・スキル・経験のレベルが低かったら、いくら「人の役に立ちたい」と思っていても、ムリな相談です。
「人の役に立ちたい」という気持ちが本物なら、まずは自分自身をレベルアップさせなければなりません。知識・スキル・経験がいずれも豊富な人が、人の役に立つ行動ができます。
そういう人材になるには、時間がかかります。ときにはもどかしい思いもしますが、コツコツとやっていくと、知識・スキル・経験が身につき、それを誰かのために役立てられるようになります。そのプロセスは、回り道ではなく、近道です。
自分と他人の両方の役に立つ――。それを両立させているのが、本当の意味での「人の役に立つことができる人」です。