2020.8.27.

複数の視点を持つ、、!

同じものを見てもいるとしても、まったく正反対のこととしてとらえてしまうことがあります。それは、視点が違うから……。これだけだと分かりにくいので、例を挙げて説明します。
たとえば、合格発表の掲示板を前にして、泣いている学生がいるとします。このとき泣いている学生にどんな言葉をかけるのかは、視点によって大きく変わってきます。
「涙=悲しいときに出るもの」という視点しか持たなければ、この学生は「落ちてしまって、泣いているんだな」というとらえ方をします。この人は、泣いている学生に向かって、こんなふうに声をかけるかもしれません。
「結果は残念だけど、人生はこれで終わりではない。次の機会にまた一生懸命頑張ればいいよ」……
 もっとも、涙は悲しいときに流すものと決まっているわけではありません。なかには、試験に受かって、うれし泣きしている人もいます。
受かった学生にこんな言葉をかけたら、感動が急に冷めてしまいます。この場合は、まだ笑い話で済みます。
 逆に、「涙=うれしいときに出るもの」という視点しか持っていないとすれば、この学生は「受かったから、泣いているんだな」ととらえます。泣いている学生に向かって、こんな言葉をかける人もいるかもしれません。
「おめでとう。頑張ったかいがあったね。でも、ここからが始まり。新しい人生でも頑張るんだよ」……
試験に落ちた学生がこんなふうに言われたら、傷口に塩をすり込まれるようなものです。
無神経を通り越して、ショックで立ち直れなくなるかもしれません。
 涙には、うれしいときに流すものと、悲しいときに自然に出てくるものの両方があります。どちらか1つということはなくて、同じ人間でも状況次第で変わってきます。
「泣いているから悲しい」あるいは「泣いているからうれしい」ととらえるのは、単純すぎます。
そうとらえてしまうのは、視点が1つしかないから。視点が1つだけだと、ものごとを見誤りかねません。
 視点は、常に複数持っているべきです。いくつも視点を持っていれば、ものごとを見誤ることも少なくなって、試験に落ちて泣いている学生に「おめでとう」とピント外れのことを言うこともなくなります。