覚えたことは、1日経てば3分の2を忘れてしまう……。これは、有名な「エビングハウスの忘却曲線」で導かれていることです。
「もの覚えが悪いんですよ」「すぐ忘れてしまうんですよ」……
こんなふうに自虐的に語る人は多いですが、それも当然です。人間の記憶は定着しにくいのですから……。
覚えたことをムリに「記憶しよう」と思わなくていい。むしろ忘れてしまってかまわない……。
こんなふうに言ったら、あなたはビックリしますか。それとも大喜びしますか?
忘れるのは、仕方がないこと。また忘れるのが「悪い」とも言えないものです。
だからと言って、「覚えなくていい」と言っているのではないことを強調しておきます。「忘れたままでいる」のがいいことだとは決して言えません。
もし頑張って覚えたことを忘れてしまったとしたら……。するべきことは、忘れたことを開き直るこことではなく、「再び覚える」ことです。
不本意にも忘れてしまったら、再び覚えればいいだけのこと。忘れたことが発覚したら、その瞬間に覚え直せば十分です。
忘れた→覚える。忘れた→覚える。忘れた→覚える……
これを繰り返し行えば、いつの日か記憶が完全に定着します。「忘れたい」と思っても、もはや記憶を消すことができなくなります。
俗に記憶がいい人は、「アタマがいい人」ではありません。「忘れたことを何度も覚え直した人」です。
学校の試験の前になると、単語帳を引っ張り出してきて、何回も覚えた単語を復唱した人は多いのではないでしょうか。
たくさんあっても、忘れている単語がいくつかあって、それを復唱して記憶にとどめようとします。それは、忘れたことを覚え直そうとしていることにほかなりません。
世の中には、忘れない人などいません。忘れたことを覚え直す人と、忘れたままでいる人のどちらかに分類できます。
「もの覚えが悪い」「すぐ忘れてしまう」と自虐的に語る人は、後者です。あなたが、その1人でないことを祈っています。