仕事とは、自己実現――。よくそのような言い方をされますし、そういう側面があるのは事実です。
「こんなことをやってみたい」「こういうふうにやれたらいい」……
自分が思い描いていたことを実現できる可能性が高いのが、仕事です。
仕事なら、いろいろな人の協力、物資の提供、お金の工面、情報入手といったものを得られやすくなります。
仕事だからこそできることは、たくさんあります。仕事を通じて、やりたいことを実現できます。そこが、自己実現たるゆえんです。
ただし、仕事は、100%自分のためにあるわけではありません。自分のために仕事をするのはいいですが、目的化するようでは、うまくいかなくなります。
仕事を目的化するとどのようなことが起こるのかと言うと、自分以外のすべてを道具とするようになること。これが言いすぎなら、自分以外のすべてを利用するようになってしまいます。
自分の仕事がうまくいくことが最優先になって、ほかの人への配慮が足らなくなったり独断専行になったりしがちです。そういうことが続くと、協力してくれたり理解を示してくれたりした人が離れていきます。1人、また1人……。
自分のやりたいことをトコトンやるのは、いいことです。その一方で、仕事を通じて誰かのために行動しなければなりません。
それは、協力してくれたり理解を示してくれたりした人でもあり、会ったこともない納入業者の人たちであり、さらに言えば、ユーザーの人のために、あなた自身がもっている知識・スキル・経験といったものを提供すること。
あなたは、仕事にかかわるすべての人のために行動する必要があります。もちろん、自分ができる範囲でかまいません。
誰かのために行動しているから、「あの人のためにやろう」「あの人のために何かしてあげたい」と、あなたを盛り立ててくれます。自分のことしか考えていない人には、誰も便宜を図ってはくれません。それは、人の世の道理です。
誰かのために行動する――。最終的には、そういう人が仕事を通じてやりたいことを実現できるものです。