「2度とこのようなことはしない」……
ミスやトラブルが起きたとき、人はその出来事を「戒め」にします。それを失敗 からの学びとするように……。
誰にでも戒めの1つや2つくらいはあるものです。戒めがない人などいません。
もっとも、それを本当に戒めにできているかどうかは、定かではありません。「できていない」人のほうが多いような気がします。
戒めにできないのは、その人自身に問題があるからではありません。本人のせいにしたら、あまりにも酷です。
できない理由は、ただ1つ。それは、戒めとする正しい方法を知らないから……。
多くの人は、ミスやトラブルを戒めとするとき、ものごとそのものをやめようとします。「ゼロにしてしまえば、ミスやトラブルは2度と起こらない」という考え方に立ちます。
ともかくそのものごとを「自粛」してしまいます。それによって強引に解決を図ります。
たとえば、ひどい「2日酔い」になったとき、戒めとして禁酒する人。もしかしたら、あなたのことかもしれません。
2日酔いしたからと言って、禁酒できる人は、まれです。そういう人は、2日酔いになるまでもなく、意識的かつ自主的に禁酒します。
お酒が好きなのに禁酒したとしたとしたら、ストレスになります。2日や3日はガマンできても、1週間はさすがにムリです。
ガマンした反動で余計に飲んでしまって、2日酔いになってしまう……。笑い話のようですが、似たようなことは、あなたにもあるのではないでしょうか。
戒めとは、ミスやトラブルに懲りてやめてしまうことではありません。それは、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の類いです。
本当の戒めは、過剰を抑制すること。「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」のほうです。
2日酔いしたなら、飲むのをホドホドにするーー。それが、戒めにしたということ。
これなら、誰にでもできます。できないことをやろうとするのは、戒めをした「つもり」になっているだけです。
あなたは、ミスやトラブルを戒めにできていますか。今日は過剰を抑制できましたか?