ここは、とある劇場。あなたは1人で舞台に立って、芝居をしています。よく見ると、あなたのほかに舞台に立っている人は、ほかにいないようです。
どうやら独り芝居。それでさびしく感じられるかと言うと、そんなこともありません。あなたは、舞台をところ狭しと動き回り、熱演しています。その堂々たる演技には、感心させられます。
芝居は、いよいよクライマックスへとさしかかっていくようです。あなたの演技が、ますます熱を帯びてきます。
どんな結末を迎えるのか、興味津々ですが、舞台袖にいる劇場関係者がソワソワしています。あなたに向かって、「巻き」の指示を出しています。
それに気づいているのかいないのかは、客席からはよく分かりません。迫真の演技を続けていますから、いい気分でいるのでしょうか。
「もうガマンできない……」
とうとう劇場関係者が、強硬手段に出ます。なんと公演中にもかかわらず、照明を切ってしまいます。
劇場全体が真っ暗になって、もはや芝居を見ることもできません。それでもあなたはセリフを言い続けています。誰も見ていないにもかかわらず……。
見ることができなくなったこの芝居のタイトルは、「2019年」とあります。あなたは、今年の自分自身をテーマにした芝居を演じていたのかもしれません。
誰もが、人生という舞台で芝居をしています。そこでは、主演・脚本・演出をすべて1人で行います。
何を演じるのか、どんなストーリーにするのかも自由。すべて自分1人で決めていきます。制限があるとすれば、1年で1話を演じることくらい。
「2019年」という芝居は、必ずその年で完結させなければなりません。年を越せば、また新しい出し物を演じなければならないのですから……。
あなたが演じている「2019年」という芝居も、そろそろ終末に近づいています。結末がどうなろうとも、それは必ず2019年中に終わらせなければなりません。
もし上演時間を守らなければ、強制的に終了させられてしまいます。途中でやめさせられるのは、やはり避けたいことです。
あなたの2019年というストーリーは、完結させられますか。サドンデスを回避できそうですか?