「なかったこと」にする人は、誠意と覚悟が足りない、、、
「この間の件なんだけど、『なかったこと』にしてくれないかな。役員(クライアント)がOKしてくれなくてさ。申し訳ない」……
進めていたプロジェクトがなんらかの都合で中止/撤退に追いこまれてしまうという残念なケースは、よくあることです。上司やクライアントの「鶴の一声」には、逆らえません。
残務処理はしなければならないので、断腸の思いで関係者に「中止/撤退」を告げていきます。もしかしたら、あなたもその1人かもしれません。
あなたにすれば、「自分も犠牲者だ」という意識があるからこそ「なかったことにしてくれないか」と、関係者に言って回っています。ただ最大の犠牲者は、あなたを信じて、プロジェクトを進めてきた人たちです。
この人たちが時間、ときにはお金をかけてまで、あなたに協力してきたのは、事実です。中止/撤退になるのは「仕方がない」とは思いながらも納得できていません。それは、「なかったこと」という言葉に、誠意や覚悟がないからです。
これは、たんに言葉の選択の問題ではありません。こういう言葉で済まそうとするところに、相手への誠意のなさ、およびプロジェクトに対する覚悟のなさか透けて見えてしまいます。あなたを信じた人たちに「こんな人を信じたほうがバカだった」と思わせてしまっています。
もしプロジェクトに覚悟を持って取り組んでいたら、上司やクライアントと衝突することさえ恐れません。「このプロジェクトはやるべきです」と、自分のクビをかけてまで遠そうとしたのではないでしょうか。
仮に中止/撤退になったとしても、カンタンには引き下がらず、次の機会を虎視眈々とうかがいます。
それだけの覚悟があれば、「なかったことにしてくれないか」という軽々しい言葉を使うこともないはずです。関係者には、「今回は力不足で申し訳ない。
近いうちに必ず実現させる」と、アタマを下げます。それしか相手に言うべき言葉や行動もありません。
そこまであなたにしてもらったら、相手も意気に感じます。前回よりもレベルもクオリティーも高いプロジェクトにして、上司やクライアントをうならせようとします。
実際にうまくいくとすれば、あなたが覚悟を決めていたからです。「なかったこと」にしなかったから、歯車がうまく回っていったのです。