大小にかかわらず、失敗とは誰もがするものです。積極的に「したい」とは思ってもいないのに、してしまいます。
やる前は「失敗しないぞ」と気をつけていても、なかなか避けることはできません。避けたいけれど、それもできない……。まことに厄介な存在です。
この世に失敗が好きな人は、いません。もしいるとしたら、よほどの物好き。あるいは変わり者。
基本的に失敗は、好かれる存在ではありません。それではまったくの「不要」かと言うと、それもまた違います。
必要な存在――。それが、失敗の持つもう1つの側面です。もし失敗が存在しなかったら、成功という存在もありません。
失敗があるから、成功が存在する――。これは、逆説的真理です。
成功とは、それ単独で存在するものではありません。無数の失敗の積み重ねがあって初めて、姿を現します。
1つ2つの失敗くらいで姿を現してくれるほど気安い存在ではありません。割合にお高く止まっています。
10回、20回の失敗では反応しません。100回、200回の失敗でも反応があるかどうか……。あまりの冷たさに辟易する人もいます。
1000回、2000回の失敗となると、「どんなことをしているのかな?」と、ようやく興味を示してくれます。ときには「頑張っているね」と、やさしく微笑んでくれるかもしれません。
10000回の失敗となると、さすがに「よくここまで頑張ったね」と、まるで自分のことのように労ってくれます。こちらにゆっくり近づいてきて、ようやくその姿を見せてくれます。
それは、あなたが成功した瞬間。無数の失敗を積み重ねてきたからこそ、たどり着いた境地とも言えます。
成功とは、数え切れないくらいの無数の失敗の上に存在するもの――。このことは、間違いなく言えます。
どんな人にも当てはまることですが、失敗を経ずして、いきなり成功にたどり着くことはまずありません。