営業や接客の仕事をしている人に求められるものは、1にも2にも「提案力」です。これなしに営業や接客はできないと言っても、過言ではありません(それ以外の仕事に就いている人にも求められます)。
提案と言っても、ただ顧客に「これはいかがですか?」「こういうのがピッタリです」と勧めることではありません。それは、むしろ打診。こちらの売りたいものを目の前に出しているだけです。
相手のニーズをしっかり把握したうえで、それを満たすものを目の前にカタチとして出していく――。それが、「提案」です。
何よりも相手のことを理解していなければ、できることではありません。そこが、打診とは異なるところです。
相手のニーズを把握するのは、何回かコミュニケーションすればできるようになるものです。
そのうえで顧客のニーズを満たすものを「これです!」とカタチとして示していきますが、実はここが成約を得られる人とそうでない人の分かれ道となります。
営業や接客で成約できるのは、提案がうまい人。営業や接客で成約できないのは、提案がうまくない人――。そう明確に言い切ることができます。
成約できる人は、顧客に半歩先の提案をしています。顧客のニーズを満たしたうえで、「こういうことができたらいいですよね」と、オプションを勧めます。
それは、「楽しくなったり快適になったりするもの」ですが、あくまでも「あってもいいもの」です。
あると、仕事や人生に彩りが加わるのは間違いないので、顧客も購入するようになります。「あってもいいもの」を勧めるのが、半歩先の提案です。
成約できない人は、顧客に1歩先の提案をしています。顧客のニーズを満たしたうえで、「こういうこともできるんですよ」と、オプションを勧めます。
それは、「楽しくなったり快適になったりするもの」ですが、「なくてもいいもの」です。高機能すぎて、顧客が使いこなせない可能性が高いものとも言えます。
ニーズを満たしているのに、「必要性をまったく感じない」から、提案そのものを却下してしまいます。
先に進みすぎた提案をされても、顧客は受け入れてくれません。顧客が受け入れやすい提案は、半歩先。それくらいが、顧客にとって「ちょうどいい」ものです。