ものごとが行き詰まったり膠着状態に陥ったりしたときには、必ず原因があります。その原因を取り除けば、再びうまくいくようになるものですが、なかなかそうカンタンにはいかないものです。
原因の多くは、「とらわれ」にあります。代表的なのは、「過去にこのやり方でうまくいっていた」というとらわれ。いわゆる成功体験です。
確かにそのやり方は、以前には通用していたのかもしれません。時代や環境が変わって通用しなくなっているのに、まだしがみついているから、もはやどうにもならなくなっています。
そのやり方には、こだわりもあります。また「まだうまくいく」という自信を持っています。こだわりと自信がない交ぜになった「強気」が、余計にとらわれを強くしています。
その一方で、実はこんな不安も抱えています。そのやり方が通用しなくなって、新しい方式が採用されてしまうと、まるで「自分の存在を否定されてしまう」かのような気持ちになっています。自分自身が「役に立たない」というレッテルを貼られてしまうことを恐れてします。
強気と不安……。この相反する2つの感情が、とらわれをもたらしています。これは、意外に見過ごされていることです。
とは言え、過去にうまくいっていたやり方にとらわれている限り、うまくいかないのは事実。それを捨てるしか、解決方法はありません。
このときどのようにすればとらわれをなくし、過去のやり方に決別できるのかと言えば、新しいやり方を見つけることが自分自身の「役割」だと思うこと。
うまくいくようになるやり方を考えて、実際に成功させなければ、役割を果たすことにはなりません。
役割を果たせないのは、「自分の存在を否定される」ようなものですから、なんとしてでもうまくいくやり方を考えつこうとします。
アタマが完全に切り替わって、もはやとらわれがなくなります。成功体験を脱却してゼロベースで考えて、うまくいくやり方を探し出すようになるのです。
自分ならではの役割をつくる――。そうすると、とらわれがなくなっていきます。