プロ野球では、「打率3割」をクリアすると一流バッターと見なされます。確率論で言えば、人間がうまくいく確率はそんなものかもしれません。
10回打席に立っても、ヒットとなるのは3回くらい……。その30%を高いと見るか低いと判断するかは、人それぞれ。どちらなのかを論じるつもりはありません。
うまくいく確率が30%だからと言って、一流バッターが持っている力の30%しか発揮していない……。決してそんなことはありません。
一流バッターは、常に自分が持っている力を100%発揮しています。たとえ「10回に3回しかうまくいかない」と分かっていたとしても……。
結果がどうなるか分からなくても、打席に立てば常に100%の力を出します。そうしなければ、ヒットを打つこともできないから……。
10回のうち3回しかうまくいかないのに、常に100%の力を出すのは、効率が悪い……。そう思う人がいたら、悪しき効率主義者です。
うまくいく3回だけ100%の力を出せばいい……。この人はそう思っているフシがありますが、それはものごとを甘く見ているにすぎません。
うまくいくか、うまくいかないかは、事前にはまったく分からないことです。「今回はうまくいきそうだ」と思って、100%の力を出しても、うまくいくとは限りません。
「今回はうまくいきそうもないな」と思って、100%の力を出さずにいると、本当に目も当てられないことになってしまいます。
悪しき効率主義者は省エネをしようとしていますが、その実、自分の実力を限りなく低下させています。
10回のうち、「うまくいきそうな3回だけ100%の力を出せばいい」と考えていますが、それは残り7回をおざなりにするということ。
10回中7回も持っている力をまったく出さないでいれば、実力そのものがゼロに近づいていきます。
その状態で3回分、100%の力を出そうとしても、元になる実力がない状態では結果を出しようがありません。自分で自分のクビを絞めています。
結果がどうなるかにかかわらず、持っている力を100%出す――。そういう人だけが、一流バッターになれます。
ビジネスも同じ。結果がどうなるか分からなくても、常に100%の力を出す人だけが、うまくいくようになっています。