トーナメントの大会に出場するのは、とても厳しいし苦しいことです。優勝するにためには、ひたすら勝ち続けるしかありません。文字どおり、負けたら終わり。「1つも負けられない」というプレッシャーは、常に続きます。
しかも、そのプレッシャーは、勝ち上がるごとに強まりこそすれ弱まることはありません。その厳しさ、苦しさは体験した人間でなければ分からないことです。
そういう大会に出る人に向かって、「負けてもいいんですよ」と言ったら、あまりにも酷です。なかには、「何を言っているんだ!」と逆ギレする人もいそうです。
別に「負け」を積極的に勧めているのではありません(これでは八百長です)。「負けることを恐れるな」と言いたいだけです。
厳しさや苦しさを感じるのは、出場する誰もが同じ。厳しく苦しい大会を勝ち抜いていくことに価値を感じるから、多くの人が出場していますが、すべての人が「負けられない」というプレッシャーを感じているわけでもありません。
実は、プレッシャーと無縁の人もいます。それは、次の2つのタイプです。
1つが、もともと実力が不足している人。練習や努力が圧倒的に足りなくて、実力のレベルがほかの人たちよりも明らかに劣っています。
このタイプは、「参加することに意義がある」と思っています。最初から「勝とう」なんて思っていないので、「負けられない」というプレッシャーなど皆無。
案の定、相手にコテンパンにやられてしまいますが、もともと負けへの抵抗感もゼロです。
もう1つが、勝ち負け以前に、「楽しんでいる」タイプ。実を言うと、練習や努力を人並み以上にしているので、実力のレベルはかなりのものです。
このタイプももちろん「勝ちたい」とは思っていますが、「負けられない」というプレッシャーを感じてはいません。
自分自身が持っている力を全部出すこと、何よりも楽しむことを最優先しています。「勝てば儲けもの」というスタンスでいます。
最初から「負けられない」というプレッシャーがないから、結果として自分の実力を余すところなく出すことができます。もちろん、負けることを恐れていません。
誰もが、いつかは負けます。「負けられない」と思ってはいても、そうなる日は必ず来ます。「負けられない」プレッシャーを自分にかけていては、起こってほしくないことが現実になるだけです。