何かをできるようになる――。その仕組みは、至ってシンプルです。
それは、ただ「やってみる」こと。
やってみなければ、それがどのようなものなのか、まったく分かりません。またそれをどのように活かしていくのかも、正確に把握できないものです。
知識・情報が「あふれすぎている」と言ってもいい現代では、ほぼすべてのものごとがどういうものなのかは、なんとなくでも分かります。言っておきますが、あくまでも「なんとなく」です。
「こういうことだろう」「こんなもんだろう」「そういうことなのね」……
知識・情報を仔細に入手できるので見たり聞いたりしただけで、「分かった気になってしまう」のが、恐ろしいところです。「一知半解」状態になっています。
そうした状態で「こういうことなんだな」と判断してしまうのは、もっと恐ろしいことです。
不確かな知識・情報をもとに判断しなければならないとしたら、取り返しのつかないことになりかねません。それでもいいと思うのなら、自業自得。
やはりものごとをきちんと理解しようと思うのなら、自分自身が「実際にやってみる」に限ります。
体験したことが、最も正確な知識・情報になっていきます。それをもとに判断を下すとしたら、適切な行動を導き、いい結果を招くようになるものです。
もっとも、知らなければいけない知識・情報が多すぎるのも事実。それらを理解しようと思うとなんでも実際にやらなければならなくなって、時間も手間も膨大になっていきます。
特にトップに立つ人が何か重要な判断をしなければならないときに、自分で実際にやってみなければならないとしたら、時間も手間も確保できません。これでは「判断できない」というジレンマに陥ってしまいます。
それを解消する唯一の方法は、実際にやってみた人の体験を聞くこと。実際にやってみた人は、そのものごとをよく知っています。
その人の率直な感想や意見を聞いて、「こういうことなんだな」と理解するようにすれば、一知半解になることを防ぐことができます。
そのものごとをよく知っているのは、実際にやってみた人。その人の感想や意見が信憑性を持つのは、当然のことです。