2020.12.8.

防御が最大の攻撃になる、、、

攻撃と防御――。この2つは、180度異なります。勝つためにはどちらも必要ですが、往々にして攻撃のほうが強化されがちです。
どんなに防御を強化しても、引き分けが精いっぱい。攻撃しなくては勝つことができないから、強化する方向に向かうのは分からないでもありません。
それでは防御をおろそかにしていいのかと言うと、それは明らかに違います。防御がお粗末なら、攻撃され放題。負け以外の結果は望めません。
攻撃も防御も、どちらも大切。どちらも強化すべきことなのに、至るところで「攻撃は最大の防御」と言われます。確かに古今東西通じる勝負ごとのセオリーです。
攻撃をしている間は、当然のことながら、相手が防戦一方になります。相手に攻撃するスキもチャンスも与えないので、結果として防御をしていることと同じ。それゆえに攻撃がその対極である防御を兼ねることになります。
もっとも、これはやや誇大表現のところがあります。それよりもはるかに説得力かつ効果があるのが、「防御は最大の攻撃」です。
防御している間は、一切攻撃に転じることはできません。全力で攻撃を防ぐことに集中します。それしかできることもありません。
攻撃するほうも防御するほうも全力で取り組んでいますが、エネルギーも疲弊度も大きいのは、圧倒的に攻撃するほうです。そこにスキが生じる余地があります。
どんなに戦略的かつ集中的に攻撃していても、鉄壁に防御していれば、エネルギーを消耗します。疲弊度も大きくなって、だんだんと攻撃の手が緩んできます。
また攻撃するほうは視野が狭くなりがちですが、防御するほうが360度にわたって状況を把握しようとしています。
なかなか決定打が出ずにイライラしてきた攻撃するほうのスキを虎視眈々とうかがっています。
全力で防御している間に、攻撃側にスキができると、そこを素早く突きます。
攻撃に集中していて防御を疎かにしていたので、相手側は後手に回って一瞬で形勢逆転。防御するほうが攻撃に回って、勝機を得ることになります。
どんなに戦略的かつ集中的に攻撃したとしても、スキは必ずあります。「アリの一穴」でそこから破綻が生じてしまうので、「攻撃は最大の防御」は万能ではありません。
それよりも「防御は最大の攻撃」の有効性のほうが、はるかに高いです。