何ごとにもうまくやるためのコツといったものがあります。それを一般化かつ体系化したものが、「ノウハウ」です。
そのノウハウを手に入れて身につければ、ほとんどの人がうまくやることができます。何も知らないでやるよりははるかに速くできるようになるので、効率的かつ効果的です。
ある意味では、高いお金を出してまで手に入れたいもの……。それが、ノウハウと言っても言いすぎではありません。
ノウハウを手に入れて身につけようとするのは、小学生が飛び級で高校生とか大学生になるようなものです。一気に高いレベルに飛び込んでいくので、「うまくなった」実感を味わうことができます。
一足飛びにできるようになったのは事実ですが、いいことばかりとは限りません。しっかり「地に足が着いている」のかと言うと、微妙なところです。
促成栽培でもあるので、実力が伴っていないところが散見されます。いくら実力のある小学生でも高校生や大学生を相手にすれば、見劣りするのは明らか。
一気に高いレベルに来てしまったために、本来なら味わうことのない挫折感や疎外感を覚えることもあり得ます。
ノウハウは、あくまでも万人が手間も負担もかからずにできるようになるためにまとめられたもの。
実力を早期に伸ばすためにあるのではないので、それに頼りすぎると、かえってのちのち苦労することになります。
「頼るのが悪い」と言いたいわけではありません。ノウハウを利用したほうがいいのは、あくまでも苦手なことや何百回やっても結果が出ないこと。
うまくいかないことがあっても、何回かやって人並みにできてしまうようなら、ノウハウは不要です。
1回でできることなどありませんから、できるようになるまでは繰り返す必要はあります。これは、誰でも同じ。
ただし、そのできるようになるプロセスにおいて、自分なりにコツを覚えていきます。それを磨いていけば、小学生が中学生を相手に対等に渡り合うことも可能です。
少なくとも最初からノウハウに頼ってしまえば、コツを覚えるという楽しいプロセスを経験できないし、磨くこともできません。それは、想像以上に不幸なことです。