「組織に属する人は、すべて歯車の1つ」
こう言うと、自分自身を否定されているように感じる人は多いようです。「存在価値がない」と言われているような気がするから、そう思うのかもしれません。
いい/悪いは別にして、誰もが歯車の1つであることは事実です。逃れようのないことなので、憤慨したりショックを受けたりするのは、建設的なことではないです。
もっとも、この事実を否定的にとらえる人は、歯車について誤解しています。「言われたことをやるだけ」とか「馬車馬のように働く」ことの象徴として歯車をとらえているとしたら、「残念」と言わざるを得ません。
歯車は1つでも欠けたら、それが組み込まれている物体を動かすことはできません。
「目で見るのがやっと」という小さい歯車であっても、それをなくしてしまえば、どんなものでも動かすことができなくなります。
むしろ小さくなればなるほど、つくるのは大変です。その意味では、小さな歯車ほど「希少価値がある」と言えます。
唯一無二。代わりがきかない――。それが、歯車です。
組織に属する全員が歯車。これが意味するのは、すべての人が唯一無二であり、代わりがきかない存在であるということ。
1つなくなるだけで組織が回っていかなくなりますから、どんな歯車にも存在意義はしっかりあります。
歯車があって、それがきちんと回っているから、組織が回っていきます。たった1つの歯車が欠けてしまうだけで、回らなくなってしまう……。逆に言えば、それほど脆弱なのが、組織です。
歯車になることは、なんら恥ずべきことでも情けないことでもありません。与えられた持ち場でしっかり行動していけば、組織がうまく回るようになります。
また小さい/大きいに関係なく、存在感を発揮できます。あなたの代わりはほかにいないのですから、歯車であることを誇りに思えるようにさえなっていきます。
「代わりはいくらでもいる」「1人くらいいなくなっても、困らない」……
そんなことを言う人は、組織がどのように回っているのかを知らない人です。
こういう人は自分を棚に上げて言っているので、救いようがありません。自分自身が「組織に必要な人間ではない」ことを公言しているようなものです。