2021.3.31.

「できる人」がいないことをプラスにする、、、

どんな組織においても求められるのが、「仕事ができる人」です。できる人は「千人力」と言ったらさすがに大げさですが、10人分くらいの仕事をこともなげにしてしまいます。クライアントからも上司からも、頼りにされます。

組織内には「できる人」がたくさんいたほうがいいに決まっていますが、そうなれば安泰かと言うと、微妙なところです。できる人は、組織にとっては諸刃の剣です。

できる人は、能力があるがゆえに何人分もの仕事をしてしまいます。それ自体はいいことではありますが、一方でほかの人の芽を摘んでしまう弊害も生じます。

できる人が何人分もの仕事を軽々とやってしまうと、ほかの人の出る幕がなくなります。「私がやるよりいい」と、できる人に自分の仕事をやってもらおうとする人も出てきます。仕事を積極的にやろうしない人を量産する恐れがあります。

それ以上に深刻なのは、「できるようになりたい」という意欲を持っている人の芽を摘んでしまうこと。悪戦苦闘している意欲がある人を見ると、できる人はつい「私がやりますよ」「私に任せて」と、その仕事を代わりにやってしまうことがあります。

本人はあくまで善意でやろうとしていますが、意欲のある人にとってはいい迷惑。能力を伸ばす機会を奪われて、芽を出すチャンスを失いかねません。

できるがゆえに、ほかの人の成長機会を奪ってしまうことは、本人も、また周りも気づかずにいます。

これではできる人だけがグングン成長して、ほかの人は伸びることはありませんから、組織全体としてはマイナス。組織自体も、成長しません。

できる人が1人、できない人が9人。これでも回っていきますが、できる人だけが伸びていく一方、組織全体の力は弱くなっていきます。

組織が成長するにあたっては、「できる人」は必要不可欠ではありません。望ましいのは、成長意欲がある人がたくさん集まっていること。

10人全員が未熟ではあっても成長意欲が旺盛なら、その組織は必ず伸びていきます。できる人1人、できない人9人の組織より伸び率は、はるかに高くなります。

もし「できる人間が1人もいない」と嘆いているマネジャーがいるとしたら、チャンスです。未熟ながらも成長意欲がある人を集めれば、組織が成長していくから……。

できる人がいないことは、決してマイナスではありません。それをチャンスととらえてプラスに変えていくことは、十分に可能です。