2020.6.26.

「勉強になった」とは言わない、、、

 その道の大家から話を聞いたり、一流の人から指導を受けたりしたときに、「勉強になりました」と口にする人は少なくありません。
本人は率直に自分の気持ちを述べていて悪気はないですが、極めて失礼な言葉です。
 言われた大家や一流の人は、社交辞令的に「お役に立ててうれしいです」と言葉を返しますが、内心、相当ガッカリしています。同時に、「この人が伸びることはないな」思っています。
「勉強になった」という言葉は、軽々しく口にできるものではありません。と言うのも、話を聞いたり指導を受けたりしただけでは、役に立つ新しい知識を知っただけ。
実際には、まだ本人もそれを身につけてはいません。この時点では、「まだ勉強になっていない」のですから、多くの人はその使いどきを間違えています。
 本当の意味で「勉強になりました」を言えるのは、実践して自分のものにしたとき。
そう、話を聞いたり指導を受けたりしてから数日や数週間経ったときです。それまでは悪戦苦闘や四苦八苦しながら、話を聞いたり指導を受けたりしたことを身につけていきます。
数日や数週間で済めばいいですが、なかには数カ月や数年かかる人もいます。その道の大家や一流の人が教えてくれることですから、もともと一朝一夕に身につくはずがありません。
どれくらいの時間がかかるかは別として、試行錯誤しながらなんとか自分のものにできたとき――。まさにその瞬間が「勉強になりました」と口にしていいときです。
身につけるまでの一切合切が自分にとっての「勉強だった」と、その瞬間に分かります。
またその道の大家から話を聞いたり、一流の人から指導を受けたりしたときに、「勉強になりました」と口をすべらしたことを恥ずかしく思うに違いありません。
その道の大家や一流の人は、経験上、よく知っています。軽々しく「勉強になりました」と口にする人が、教わったことを身につける気がないことを……。
それゆえに目の前の人からその言葉を聞いたときに、「またか」と悲しくなってしまいます。
「勉強になりました」は、教わったときに言う言葉ではありません。教わったことを実践して身につけたときに初めて口にできる言葉です。これは、しっかり肝に銘じておきたいことです。