好むと好まざるとにかかわらず、日常とは異なる状況に置かれたときに、人は不安になります。「不安になるな！」と言われても、なってしまいます。
むしろ「なるな！」と言われると、余計に不安が大きくなります。それは、自分だけでなく、周りの不安が伝わってきてシンクロしてしまうから……。
こういうとき、何もしないでジッとしていても、その不安は解消されません。それどころか、「どうなるのだろう？」「大丈夫かな……」と疑心暗鬼が募って、今度は自分の中でその不安を育てて大きくしてしまいます。
ついには自分自身が、不安にのみこまれてしまいます。「自分＝不安」になりかねません。
こういう状況で、不安を解消するために大胆なこと、無謀なことをしようとする人がいます。そういう特別なことをすれば、不安が解消するのかと言えば、ＮＯです。
そもそも尋常ではないときに、特別なことができるはずがありません。うまくいかなくて、ますます不安になるのがオチです。
日常とは異なる状況で不安を解消しようと思うのなら、やることはただ１つ。それは、できることをしっかりやっていくこと。
できることとは、いつもやっていること。極端なことを言えば、それで十分です。力を発揮できないときにやれることはそれほどないのですから……。
ただし、条件が１つあります。たとえば、ジョギングならいつもより少し長く多くする。あるいは勉強なら、ちょっと難しいことを重点的にやってみる。
いつもやっていることをできるだけ多く／長く／難しくしてやってみます。言うなれば、レベルを少し上げる。それをすると、達成感、充実感を得られます。
いつも以上にそれらが得られるから、不思議と不安が消えていきます。これは、やってみれば、誰もが実感できることです。
イレギュラーな状況下で、不安になるのは仕方ないことです。そんな自分や他人を責めるのは、よくないことです。
そんなことをするより、不安を解消することを優先すべきです。特別なことをするのではなく、いつもやっていることのレベルを上げてやってみるだけ。
不安になっているのに、そのできることをやらないでいる人がたくさんいるのは、残念なことです。
